佐武林蔵コレクション

 

佐武林蔵コレクションとは、1966(昭和41)年に佐武林蔵が財団法人佐武会に寄付した28点の美術品と、1999(平成11)年に佐武夫人から日南町美術館に寄贈された57点の美術品です。その中には、クレパスの開発に深く関わった洋画・版画家の山本鼎をはじめ、林武や宮本三郎、小絲源太郎、三岸節子、猪熊弦一郎、菊池一雄など、近代の美術史に名を連ねる著名な芸術家たちの作品が残されています。
本会期中は、選りすぐりの作品とともに、現代作家が描いたクレパスの魅力を感じさせる作品の数々までをご紹介します。

 

佐武林蔵(旧姓:山形、1886−1968)は、1886(明治19)年、日野郡豊栄村(現在の日南町福栄)に生まれ、東京師範学校を卒業後、都内の中学校英語教諭となりました。その教員時代に、生徒たちがアメリカから輸入される高価なクレヨンを使うことに着目し、安価で優良な国産クレヨンが製造できないか研究を重ねます。そして、1921(大正10)年に、日本クレィヨン商会(現在の株式会社サクラクレパス)を設立しました。その後、教員を辞めて、国産のクレヨン、クレパスの開発に尽力するとともに、教育美術振興会を設立して、生涯にわたり我が国の美術教育界と美術界の振興と発展に多大な功績を残した人物です。

佐武コレクションより

山本鼎作 「裸婦とリンゴ」
(1925年頃)
油彩画 37.1×44.2p

足羽俊夫


足羽俊夫と作品

パリのアトリエにて                                                                                    

 

足羽俊夫は、日南町に生まれ、パリで50年以上にわたり画家、詩人、写真家、彫刻家として多様な活動を続けた芸術家です。
その作品は、夢想や瞑想、官能、神秘、祈り、心の叫びといった、目には見えない複雑な内面世界が、多様な主題と技法で描かれています。フランスのル・モンド紙で「日本的なものとはまったく絶縁した絵画を作っている。彼が属しているものは、夢を描く画家という一族だ」と、その芸術性を高く評価された足羽俊夫の作品の数々をご紹介します。

 

足羽俊夫(1931−2017)は、1931(昭和6)年、鳥取県日南町霞に生まれました。戦時下で13歳を迎えると、ほかの多くの少年たちと同じく英雄的行為への憧れと愛国心から、志願兵となります。半年後に迎えた敗戦により、屈辱感と虚無感の中で、自分が本当に信じて生きるべき道の模索を始めます。そして、芸術の道に進む決心を固め、30歳の時にフランスへの留学を果たし、パリ国立高等美術学校で石版画を学び優秀な成績を修めました。以後、パリを拠点に世界各地で個展やグループ展を開催し活躍。2012(平成24)年に日本人で初めてパリ市から名誉賞を受賞、2015(平成27)年には、フランス政府から、芸術文化勲章(シュバリエ)を授与、2016(平成28)年には、鳥取県から県民功績賞が授与されました。1996(平成8)年6月、日南町美術館の開館当初から名誉館長に就任。2017(平成29)年に86歳で亡くなるまで、精力的に芸術活動を続けました。

代表作品 展示室

足羽俊夫作 「悲しみの王」1964年
油彩画
130.0×97.0p

展示室風景